「気圧」は空気の圧力です。
普段生活する中で感じることは無いと思いますが、空気には重さがあります。
地表から大気上端までの空気の重さは、底面積1平方センチの柱にすれば約1kg、同1平方メートルの柱ならその1万倍で約10トンになります。
これを重いと思うか、軽いと思うかは人それぞれだと思いますが、普段この重さを感じないのは、この空気による圧力が上下左右すべての方向から働く(一方向からではない)ことと、身体の外側の空気にも身体の内側にも同じ圧力がかかるためだと思います。
だから、体重計で、その上の空気の重さは量れません。体重計で空気の重さを量るなら、真空の部屋に体重計を置いて、その上に空気を詰めた袋を置けばよいのです。こうすると袋に対する浮力が無くなって、空気の重さが一方向(下向き)に働くようになるからです。もちろん袋の重さは差し引きます。
気圧計で気圧を測定できますが、同じ原理を使っています。つまり、真空状態を作り、その周囲の一部に一方向だけに動く可動部分を作ります。そうすると、気圧がその可動部分だけに作用して真空と釣り合う状態になるように動くので、その動いた量によって気圧が分かるというわけです。
このように、気圧を直接感じ取ることはできませんが、気圧の「変化」を感じ取ることはできます。「耳がツンとする」というやつです。鼓膜の奥には閉鎖空間があるのですが、耳の外側の気圧が変化すると、内側の気圧は変わらないので、その差の分、鼓膜あたりに力が働いて、これで「ツンとする」ように感じます。この時、唾を呑み込むと耳の奥と鼻の奥がつながって気圧差が解消し「ツン」も解消します。エレベーターに乗った時、乗り物に乗って登山・下山する時(飛行機の上昇、下降も)、電車がトンネルに入った時などに、外の気圧が大きく変わって、「ツン」を経験します。
体重計では量れないけれど、空気の重さの分だけ確かに気圧はかかっています。このように、分かりにくい「気圧」ですが、気象においてはとても重要です。その話は次回に。
(2021/07/20掲載)