音楽と気象は「波動つながり」ですが(音楽と気象0:https://kion-web.com/blog/ongakutokisyounokankei_musicmeteorology0/)、気象の波動の中でも日々の天気に最も関係の深い「偏西風波動」を音楽にしてしまった人がいます。
気象庁の先輩の股野宏志さん。とても音楽好きで、北半球の偏西風波動の北を高音、南を低音として楽譜を作るという試みをされて、そのことを気象学会誌「天気」に投稿されたところレコード会社の目にとまり、プロの作曲家・篠原敬介さんが曲にして売り出すということがありました。1992年のようです。篠原さんは、「NHKスペシャル」の音楽担当をされるなどでご活躍中の方でした。
私は、このCD発売の話を聞いて、「果たして偏西風波動を音楽にしたらどのように聞こえるのだろう」と興味を持ち、早速買いました。
500hPaの1月、4月、7月、10月の5700m月平均等高線データを基にして、それをそのままに音にしたものや、偏西風波動の示すコード進行に対応させて発想された旋律などの12曲が収められています。どれもゆったりと進んで行き、特に強いインパクトを与えるものではありませんが、心地よく響き、BGMにすれば仕事が捗りそうな感じです。常に頭の上にあって天気を支配し、我々の生活に溶け込んでいる大気の流れの音楽だからこそ、そのように感じるのかな、などと思ってしまいました。
CD「THE AIR song of the Earth」は廃盤となっていますが、amazon他で手に入るようです。また「THE AIR 2」もあるようです。
上記の股野さんの「天気」への投稿記事は、以下のとおりです。
股野宏志、1977:「天気予報」、天気、vol.24、no.10
股野宏志、1986:「総観気象学への招待」、天気、vol.33、no.11
(2020/11/10掲載)