観天望気-その技術と限界
「おかえりモネ」で毎日、「観天望気」という文字を目にする日々です。
「観天望気」って、何かすごいことのように思われる方は多いと思います。空の様子を見て先の天気を予想できるわけですから。
観天望気は、実際の空の状況を見て、その後の天気変化がどうなったか、という経験の繰り返しから生み出された天気に関する知見で、天気予報も気象衛星も無い大昔から、日々の生活の中で見出されてきた法則ということでは、素晴らしいの一語に尽きます。
「日暈が出れば雨」、「夕焼けは晴れ」などは、高低気圧に伴う雲の現れ方、大気の立体構造に関係する格言で、現代の気象知識から考えても、とても合理的な内容です。また、山にかかる笠雲の形状によるその後の天気変化の予想など、その地域に密着した内容のものもありますが、これらも適用できる範囲は狭いものの、合理的な内容が多いと思います。
このようにすばらしい観天望気ですが、残念ながら限界があります。それは、「せいぜい1日先までしか予想できない」ということです。
この限界は、観天望気において判断の基になる「空」は、地球大気のごく一部でしかないことによります。地球上のある1点から見える空は地球大気のごく一部でしかありません。天気は地球大気全体に関係しています。地球上の空気の流れを考えてください。ジェット気流という流れの最も速いところの空気は、1週間もかからずに地球を一周します。今、地球の反対側にある空気が数日後には頭の上に来るのです。その空気全体の状況が見えないのに、正しく予報できるでしょうか?
これが「観天望気の限界」です。
実際の天気予報では、地球全体の空気の状況を正しく把握し、それを基に数値予報モデルを動かして、その計算結果を利用しています。
これについては、「予報がコロコロ変わるのはなぜ?」 https://kion-web.com/blog/meterology-korokorokawaruyohou/ もご覧ください。
(2021/06/11掲載)