「毎日同じ」では、天気予報でない1 気象は波動
現在は、10日先まで、14日先までなど長い期間について、日々の予報を発表されている機関があります。
その予報結果を目にする機会も多いのですが、1週間後頃以降は、毎日、天気も気温もほとんど同じになっている予報を見ることがあります。これを見ると私は「天気予報ではない」と思ってしまいます。例えばイベントの主催者や、旅行の日程を決めようと思っている人などが、そんな予報を活用できるとは思えません。
日本は北緯25度から45度あたりの中緯度に位置しています。この緯度では、天気を支配するのは蛇行する偏西風です。大気の重心である500hPaの天気図を見ると、南北に蛇行する偏西風の流れを感じ取ることができます。盛夏期に太平洋高気圧に覆われる場合を除けば、ほぼ一年中、日本付近の天気は、この偏西風の蛇行に支配されています。
偏西風の尾根に位置するか、谷に位置するかで天気は変わります。つまり、偏西風の「波動」に対応して天気は変化しています。
「気象は波動」なのです。
ということは、1週間~10日も同じ天気や気温が続くなど、ほぼあり得ないのです。
この当たり前の事実を無視して、毎日が同じ天気、気温の予報を出すには勇気が要ると思います(それとも、そんなことお構いなしにコンピュータ出力をそのまま発表しているのでしょうか)。
この後は、なぜそんな予報が出るのかについて、数値予報の仕組み、アンサンブル予報の観点から考えてみます。
関連記事:
「毎日同じ」では、天気予報でない2 数値予報の仕組み http://kion-web.com/blog/meteorology_mainitigaonaji2/
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(2022/8/28掲載)