「予報がコロコロ変わるのはなぜ?」

気象庁天気相談所には、時々「なぜ予報がコロコロ変わるのか?」という問合せが来ます。

これは疑問文ですが、質問者は決して予報がコロコロ変わる理由を知りたいのではありません。「予報がコロコロ変わるのは怪しからん!」という苦情なのです。確かにイベントの主催者や旅行を計画している人などにとって、その日の予報がコロコロ変わられてはたまったものではありません。なのでその質問に対しては、理由を説明するのではなく、まずは謝ることになります。

でも気象庁としてはその質問に対するまともな答えも用意しておきたい(聞いてくる奴に完膚なきまでに分からせてやりたい:これはもちろん気象庁の意思ではなく、私個人の思いです)と思い、「よくある質問集」のQ&Aを作って載せてもらいました。5年経った今もまだ掲載されています(下に転載)。

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq4.html#24
天気予報がころころ変わる原因は何ですか?
天気予報は、地球を取り巻いている大気の将来の状態をコンピュータで計算した結果を基に、予報官が実際の天気状況と比較し、過去に得られた様々な知見に基づく修正を加えて発表しています。地球大気は「流体」であり、コップの水の一部をかき回すと、その動きはやがてコップの中の水全体に伝わりますが、それと同じように地球大気も全体が一体であるのと同時に、全ての部分が互いに影響し合っており、日本付近の天気を正しく予想するためには地球全体の大気の将来の状態を計算する(これを数値予報と呼びます)必要があります。これには膨大な計算が必要になります。数値予報は、ある時点の地球大気全体の状態(気圧、気温、水蒸気量、風)をなるべく正確に把握(観測資料の収集)したデータを用いて将来の状態を計算するのですが、その結果には必ず誤差が含まれており、時間が経過するにつれて(遠い将来ほど)その誤差は大きくなります。この誤差をなるべく小さくするために、気象庁では1日4回、地球全体の観測結果に基づく数値予報を行い、最新の結果を用いて天気予報を発表していますが、その結果、最新の天気予報の内容が過去に発表した予報と変わることは少なからずあります。天気予報は毎回変わる可能性があるものとご理解の上、ご利用ください。

(2019/12/20掲載)

「予報がコロコロ変わるのはなぜ?」” に対して1件のコメントがあります。

  1. より:

    天気予報じゃなくて天気実況に変えた方が良いのではないでしょうか。

    1. kionweb より:

      「気温のページ」をご覧いただきありがとうございます。
      この記事では、主に週間予報について、特定の日の予報に傘マークが付いたり付かなかったりコロコロ変わる場合を取り上げていますので、ご理解いただければ幸いです。
      天気実況がコロコロ変わるかどうかは、その時の気象状況によって決まると思いますが、記事内容について具体的なご希望があればお知らせください。

  2. クレーマークレーマー より:

    数時間前の予報を変えるのは流石に卑怯だと思うわ

    1. kionweb より:

      「気温のページ」をご覧いただきありがとうございます。
      「卑怯」と感じる場合もあると思います。
      しかし、予報を出す立場からすると、数値予報の計算結果が前回と大きく異なった場合に実際にどういう予報を出すかは、大きく悩むところです。
      結局は、現在の天気予報技術には限界があって、次に発表される予報が変わる可能性もあると思って予報をご利用いただくしかないと思います。
      なお、週間予報では、予報の「信頼度」を3段階で発表しており、「次に変わる可能性」についてもお知らせしております。

  3. オオスミヨシヒト より:

    天気予報はボランティアでやって欲しいね!(-_-)これでは下駄を投げて裏が出たら雨で表が出たら晴れと結果は同じになるからね!天気予報と言うのは結果オンリーでいくら難しいデータを取ってても当たらなければただの素人天気予報に過ぎないですからね!(-_-)

    1. kionweb より:

      コメントありがとうございます。
      当たらないなら税金を投入してまで天気予報をやる意味はないということでしょうか。
      そう思われるのも無理はないと思います。
      ただ、私は既に退職しましたが、精度の高い予報をするために世界の隅々から気象データを集めて数値計算することはボランティアでやるのは無理であり、年間、国民一人当たり500円程度の予算で行っている気象庁の仕事は有意義なものだと思っています。

      1. 山下 より:

        論点が少しずれています。私も同じくボランティアでも良いと思うほどですが、それほど予報が当たらないということではないでしょうか?500円の少額であろうと世界の隅々から気象データを集め精度の高い予報としてると言われても結果が伴ったいないというのが国民の感想です。気象予報でも他業種だろうと皆さん努力しています。しかし結果を出さなければ努力は給料には反映されません。ラーメン屋が寝ずに研究し、仕込みをしても美味くなければ客は金を払わないでしょう。これだけ努力したラーメンです、と言われても結果(味)が伴っていなければ誰も食べません。極論をいえば、投げた下駄での予報が当たるのであれば誰も文句はいいません。仕事が出来ない人に限って、努力してるのにとアピールするものですよ。少なくとも今日の天気予報すら当たらないと思う私には、今のままであれば500円の価値もありません。

    2. 肉味噌 より:

      分かります。素人なら本職ではないから外しても腹は立たないが、気象予報士は国家資格で本職。これを経営やコンサルティングに例えるなら商売、会社は破綻するレベルで最近の予報は外れまくり。

  4. 織田裕一郎 より:

    明日の天気くらいは高確率で予報してほしい。例えば、寝るまで明日は晴れ曇りだったのに起きたら雨予報。明日どころか今日の今日の天気すら当たらずが最近は特に多い。雨雲レーダーも全く当てにならない。1時間、2時間後に雨雲が来るというのに降らない。予報を見てバイク乗るかを決める私としては降らないで予報で乗ったら雨、降る予報でツーリングを止めたのに降らないってこれ以上の腹立たしさはない。私にとって最近の天気予報はホラ吹き、雨(狼)が来るぞーと同じレベル。明日今日、1、2時間後すらまともに予報できないのなら気象関係でメシを食う看板は下ろした方がいい、ホントにウンザリ。

    1. kionweb より:

      コメントありがとうございます。
      雨の予報が当たらないとのことですが、特に今の時期のスケールの小さい雨域を正確に予報することは基本的に無理です。
      天気予報の基本となる数値予報は、約5km間隔の格子点ごとの未来の数値を計算するというものですが、雨雲って、小さいものは直径1km以下のものもありますから、それを正しく予報できるわけがないのです。
      こう言うと「そんな予報ならやる意味ないのでは?」と思われるかもしれませんが、技術の進歩と共に予報精度は少しずつではありますが上がってきていますので、「予報の特性を知って、利用できる部分をうまく利用する」ことをお勧めします。
      雨については、まず予報されている雨域の広さに注目してください。広い雨域(例えば関東地方をすっぽり覆うくらいの広さ」であれば、予報精度は高いです。一つの県より小さいくらいだと、精度が落ちます。あと、広い雨域でも、雨が降るか降らないかの境界付近は精度が落ちます。
      次に「降水確率」にも注目してください。予報で傘マークが出ていても降水確率50%なら、降らない確率が50%あるわけです。10%の時よりは降る可能性は高いですが降らない確率も結構大きいということです。
      あと、霧雨のような弱い雨(1時間雨量1ミリ未満)の予報は当たりにくいです。
      以上を踏まえると、「天気に関する情報がゼロ」よりは、少しはマシにならないでしょうか?

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