寒気流入時の最低気温平年差の分布の特徴 - 内陸部より沿岸部で平年差のマイナスが大きい
11月8日朝の最低気温平年差は、北海道で寒気流入時の特徴的な分布となりました。
左の図の北海道をご覧ください。北海道には寒気が流入していますが、最低気温の平年差(観測値-平年値)は内陸部に比べて沿岸部(今回は島嶼部が主)でマイナスが大きくなっています。この理由を説明できますか。キーワードは、海面水温、冷え込み、風速などになります。
寒気が流入するときは強い風速を伴ってフレッシュな寒気が次々に流れ込むため、気温は広い範囲でほぼ一様になります。右の図にそれが表れていますね。これは高気圧に覆われて冷え込みが卓越する時とは全く異なる状況です。この一様な気温が平年の気温と比べてどうなのかということを考えれば答えに行き着きます。
最低気温の平年値が沿岸部と内陸部でどう違うか考えてみると、
沿岸部では風が吹きやすいため冷え込むことが少なく、高い海面水温の影響を受けた空気が流れ込むこともあるのに対して、内陸部では相対的に風が弱く冷え込みやすいため、平年値は沿岸部の方が内陸部より高くなります。
寒気流入時、沿岸部では、海面であまり暖められないままの寒気が直接流入して普段より気温が下がるのに対し、内陸部では風が吹くことによって冷え込みが抑えられるため、冷え込む場合よりも気温は高くなります。このようなわけで、寒気の強さにもよりますが、沿岸部では平年よりも気温が低くなり、内陸部では平年に比べてさほど低くならないことが多くなります。
(2019/11/10掲載)