気温が高い原因? その3:雨による冷気

夏の最高気温が平年より高い場合、低い場合、それぞれについて、「国内気温概況」では、その原因を記述していますが、その際の考え方について述べています。

最高気温が平年より低い場合の理由として、「日中に雨が降り続いたため」と記述することがあります。晴れた場合は、通常昼過ぎに最高気温が出るのですが、日中に曇ったり雨が降った場合には、日照が少ないため気温が上がらず、最高気温は平年より低め~低くなることが多いです。日中に雨が降ると、日照が遮られる効果もありますが、その他に「雨による冷気」の影響も加わって気温の上昇を抑えるということがあります。これについて説明します。

雨が降る場合、雨粒の落下によって下降気流が生じます。ある程度強い雨は下降気流を伴っています。上空の空気が下降すると、概ね100mに1℃の割合で気温が上がりますが、雨粒を含んだ空気の場合は冷たい雨粒に冷やされて気温上昇が抑えられるため、この割合で気温が上昇することは無く、地上に達した際の気温は周囲の気温より低い場合が多いと思われ、また、雨粒自体も低温のまま地表に落ちるため、周囲の空気を冷やすことになります。

雨が広範囲で降り続く場合には、これらの効果により地表近くに薄い冷気層が形成されます。この冷気のことを「雨による冷気」と表現しています。

この冷気層が形成された場合、広範囲で気温が似たような値になります。ここで面白いのは、最高気温は広範囲で平年差がマイナスとなりますが、大都市部の方がそのマイナスの値が大きくなることです。これは、大都市部ではヒートアイランド効果により最高気温の平年値が周囲より高いため、平年差(=観測値-平年値)の値が周囲より小さくなるということです。

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(2021/09/20掲載)

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