音楽と気象11 「雪の華」(歌:中島美嘉)

この曲を初めて聴いたのは、5年ほど前のNHKFM「トーキング ウィズ 松尾堂」でした。
記憶はいい加減ですが、大学教授のような方が「この曲が好きだから」と言ってリクエストされたのです。

サビの「今年最初の雪の華を」と、5度跳躍してこの曲の最高音をファルセットで歌う部分が印象的で、終わりにかけて盛り上がる感じや、透明感のある声、純正に近いかなと思われる音程の確かさにも好印象を持ちました。ただ、リクエストされた方のイメージとは異なることや、(記憶違いでなければ)雪の季節ではなかったことも印象に残りました。その後、この曲が冬の定番曲として人気の高いことも分かってきました。冬になれば一度ならず耳にしますね。

「雪の華」と言えば雪の結晶を連想することから、気象と結びつけた文章も書けるかと思い、詞を見ながら歌を何度か聞いてみました。サビ以外は印象に残っておらず、全体の詞の内容も全く分かっていなかったので。それで気付いたのは、「雪の華」は4回出てきますが、どれも「雪」と言い換えても意味が通じることです。「雪」で済むところをわざわざ「雪の華」と言っているのです。

詞は、(若い)男性の恋愛感情を表現しています。相手への純粋な想い。それは、ある意味、美しいものでしょう。その美しさを「雪の華」によって際立たせているということでしょうか。そのためにわざわざ「雪の華」と言っているのかなと思いました。

雪の結晶はいろいろな形のものがありますが、代表的なものは六角形のものでしょう。「六花」とも言われますが、誰しもそれに「美」を感じるのではないでしょうか。水分子の性質により形作られる様々な六角形の結晶、それはミクロながら、自然の素晴らしい造形ですね。

ただ、雪の結晶は次第に融けて形を変えていきます。それほど長く「美」を保つことはできません。
それも分かっていて、敢えて恋愛感情を雪の結晶に重ねたのだとしたら・・・、
本当に奥深く、味わい深い歌であり、多くの人の心を打つことになったのではないかと思います。

(2022/2/19掲載)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です