音楽と気象3 「埠頭を渡る風」

「流線形’80」(1978年発売のアルバム)の2曲目に入っていました。とにかくカッコいい曲、会心作だと思います。私の中では数あるユーミン作品の中でもトップクラスの好きな曲です。

風雲急を告げるようなイントロですが、詞の内容は破局ではなく、傷ついた男とそれに寄り添う女の話です。男が何に傷ついているのか分かりませんが、寄り添ってくれる女がいるのだから恋の傷ではなく、人間関係とかかもしれません。曲は目まぐるしく展開し、「もうそれ以上優しくなんてしなくていいのよ、いつでも強がる姿うそになる」という男心をくすぐる詞で結ばれます。やっぱりカッコいい曲です。

さて、初めの方で「埠頭を渡る風を見たのは・・・」とありますが、これについて考えてみたいと思います。
そもそも風は「見える」ものではありませんね。それを見たと言っている。それはきっと風によって起こされた波などを見たことをもって、「風を見た」と言っているのでしょう。「渡る」は、風の強い部分の動いていく様子が目で捉えられていることを表しています。埠頭で風が渡っていくことを実感するのは、やはり水面にできる風紋だと思います。肌に実感できる風の強まりがあり、それが水面に風紋を付けながら渡っていくという状況が思い浮かびます。

この曲の場合の具体的な風速ですが、ある程度の風速がある中で風の息の大きい状態が考えられます。平均8m/s、瞬間最大15m/sくらいでしょうか。

 

(2020/9/13掲載)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です