気温が低い原因? ・・・・ 「寒気」と「冷え込み」
当サイトでは、毎日、「国内気温概況」を更新しています。「気温の平年差」は、暑さ、寒さの実感に近いと考えて、最高気温あるいは最低気温の平年差分布に着目し、平年より高い原因、低い原因を考えて記述しています。
現在(冬)は、「8時までの最低気温の平年差」(日によって8時以外の場合もある)のデータにより記事を作成しています。
この時期、気温が平年より低い場合の原因は、「寒気」と「冷え込み」です。
「寒気」は、ユーラシア大陸から低温気塊が主に北西風に乗って流れ込む場合の気温低下です。流れ込んだ空気そのものの冷たさによって気温が下がります。
「冷え込み」は、本来、原因に関係なく気温が低くなる状況を指す言葉と思いますが、当サイトでは「放射冷却による気温低下」の意味に限定して使っています。「寒気」の場合とは異なり、風が弱く晴れた時に放射冷却が強まって地表面の温度が下がり、気温が下がります。
「寒気」と「冷え込み」ではどちらの方が気温が下がるかと言えば、圧倒的に「冷え込み」です。国内の観測地点の最低気温記録の多くは「冷え込み」時に記録されていると思います。
・最低気温が平年より低い時の原因が「寒気」なのか「冷え込み」なのかの判断の仕方
主な判断ポイントは「天気」と「風」です。衛星画像、レーダーデータ、アメダスの降水量、風を使って判断します。
放射冷却が起こるには晴れている必要があります。また、風が弱い時の方がその場の空気がどんどん冷やされて放射冷却が進みます。風が吹くと、別の場所の空気が流れ込むため放射冷却が進みにくくなる、つまり、放射冷却が抑えられることになります。ただし、風によって別の場所で冷却された空気が流れ込んで気温が下がる場合がありますが、その場合は風が吹いていても低温の原因は「冷え込み」としています。
大まかに、晴れて風が弱ければ「冷え込み」、雲に覆われていたり風が吹いていれば「寒気」となります。風が弱いが曇っていて最低気温が平年より低い時は、放射冷却は起こりにくいので「寒気」としています。
・内陸部と沿岸部の特徴の違い
内陸部と沿岸部では、内陸部の方が冷え込みやすく、沿岸部では風が吹きやすいので冷え込みが起こりにくいです。このため最低気温の平年値は内陸部の方が低くなります。寒気が風と共に流入する時は「冷え込み」による気温低下は起こりにくいので、平年値の高い沿岸部の方が「寒気」により平年差のマイナスが大きくなります。風が弱まって寒気の流れ込みが終わると、海からの暖気の入りやすい沿岸部では気温が下がりにくい一方、内陸部では「冷え込み(放射冷却)」による気温低下が起こりやすくなります。
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(2022/1/19掲載)